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バイン



 小野伸二が加入するまで、レッズサポーターは毎晩のように彼の夢を見ていたらしい。

 印象的だったのは95年秋口の雨の国立競技場。相手は鹿島アントラーズ。
この試合負けたら優勝の可能性がなくなる。そんなシビアなゲームはPK戦までもつれ込んだ。
そして、あろうことかPKを外し、敗北を決定してしまったのはバインだった。

 その瞬間、満員の国立競技場が完全に凍りついた。
そして、しばしの静寂の後、競技場中から大きな拍手が巻き起こった。
あまりにも感動的な光景だった。
ここまで夢を繋いでくれたのが彼だったということを、誰もが理解していたのだ。