オリックスブレーブス |

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この頃、松永・ブーマー・門田・石嶺と続く強力打線を擁していたブレーブスは、
この色に因んでブルーサンダー打線と呼ばれた。
この年、暇つぶしに出かけた東京ドームで、凄く印象に残っている試合がある。
試合自体はたいしたゲームではなかったと思う。
そして、まだ東京ドームができたばかりで、修学旅行などで
けっこう満員だったような記憶がある。
覚えているのはその途中でのこと。
三番ブーマーを迎えたのはファイターズのエース西崎。
ブーマーの猛烈なライナーが西崎を襲う。
そしてそのライナーをしなやかな動きで掴み取った西崎。
さすがにゆるい観光客でも、このプレイにはどよめきと大拍手が起こった。
大画面でのスローモーションでも再び拍手。
このとき、ネクストバッターズサークルでむっとした表情をしていたのが門田であった。
そして門田は、投じられた第一球、これ以上ないフルスイングでわざと空振りをした。
直前のプレイで少しプレイに集中していた客は、そのスイングに今度はどよめいた。
門田は、観客の目をその空振りで自分に持っていってしまったのである。
恐るべきプロ根性。
そして、そのプレイにむっとしたのは西崎であった。
渾身のストレートで門田に挑む。そして、門田はそのストレートを見事に打ち返した。
すばらしい打球が舞い上がる。「入るのか」観客は腰が浮く。
しかし、その打球越しに私の視線の隅に入ったのは信じられない光景だった。
何と、打球の行方も見ずにベンチに歩いている西崎の姿だったのだ。
打球は詰まっていたようだ。スタンド手前で失速して、外野手のグラブに収まった。
凄い大飛球だったのだが、、。
これも恐るべきプロ根性であった。
プライドをかけて観客の目を奪い合う。これこそがプロではないか!
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