しかしながら、清水は遠かった。
只でさえチケットが取りにくかったのに加え、
ナイターだと延長に入ると終電がなくなる、というプレッシャーもあった。
結局地元志向的な感情も再び生まれつつあった時、きわめて魅力的なチームが登場することになった。
それが横浜フリューゲルスである。
試合を重ねるたび、選手が魅力的になって行った。キーパーにドレッドヘアの森君。
左サイドバックには強烈なキャラのモネールが控える。
底には山口。ゲームを組み立てるのは魔法のフリーキックを操るエドゥ。
そして前線には前田治とアマリージャという、妙に頼りなさそうな2人が揃う。
そして、前園がめきめき力を付けて、キレの良いドリブルと、
枠を遥かに外れる気持ちの良いシュートで爽快感を我々にもたらしたのである。
前園はファルカンによって代表にも選ばれ、大ブレイクする。
この時代のフリューゲルスのベストゲームは、
菊池光悦とかいう、読売出身のレフェリーに無茶苦茶な笛を吹かれつつも
アマリージャのゴールでヴェルディを沈めた試合も良かったが、
敢えて94年、3月16日の市原戦を挙げたい。
この試合、早々にエドゥ→アマリージャのドンピシャダイヴヘッドで先制。
そして大嶽の30mあろうかという強烈なロングシュートが炸裂。
そして前園が軽やかに続き、最後はエドゥがコーナーを直接叩き込んだ。
エドゥは、直前に惜しくもFKを外していたリトバルスキーを慰めていたが、
自分が決めた後はリトバルスキーの肩を叩いていた。
かっこ良過ぎる瞬間であった。
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